
もみじ(紅葉)は、四季を通じて美しい表情を見せてくれる日本を代表する庭木のひとつです。春の新緑、夏の青葉、秋の紅葉、冬の枝ぶりと、一年を通して庭の景観を楽しませてくれます。しかし、もみじは放っておくと枝が込み合い、樹形が乱れて風通しも悪くなります。美しい紅葉を長く楽しむためには、適切な庭木のもみじ剪定が欠かせません。この記事では、プロが教える剪定の正しい時期とコツを詳しく解説します。
庭木のもみじ剪定が必要な理由
もみじは成長が早く、枝が細かく分かれる性質があります。放っておくと樹形が乱れ、紅葉が十分に楽しめなくなることも。庭木の剪定でもみじを整えることは、紅葉を楽しむための重要なポイントです。庭木の剪定でもみじを整えることは、紅葉を楽しむための重要なポイントです。
主な剪定の目的
樹形を整える

自然な枝ぶりを活かしながら、美しいシルエットを維持します。
風通しと日当たりの確保

枝が密集すると害虫が発生しやすく、紅葉の色づきも悪くなります。
紅葉をより美しくするため

適度に枝を整理することで、葉に十分な光が届き、発色が鮮やかになります。
木の健康維持

枯れ枝や病気枝を取り除くことで、病害虫の発生を防ぎます。
庭木のもみじ剪定の適切な時期とは?
1. 冬(休眠期)の剪定:11月〜2月

もみじの剪定時期として最も適しているのは、冬の休眠期です。葉をすべて落とした後は枝の構造が見やすく、樹形を整えるには最適。この時期に行う剪定を「透かし剪定」と呼びます。これらを意識して剪定すると、春からの新芽の伸びが健全になります。
・混み合った枝を間引く
・内向きや交差する枝を切る
・枯れ枝・病気枝を除去する
2. 初夏(軽い整枝):5月〜6月

冬にしっかり剪定したあとでも、5月〜6月頃には再び枝が伸び始めます。この時期には軽めの剪定で形を整えましょう。この時期に切りすぎると樹勢が弱まるため、軽く整える程度がポイントです。
・伸びすぎた枝先を切り戻す
・樹形を乱す枝を軽くカット
3. 秋の剪定は避ける

「紅葉が終わったから剪定しよう」と思う方も多いですが、秋の剪定はNGです。秋はまだ樹液の流れが活発で、切り口から病原菌が入る可能性があります。また、紅葉が終わる直前は樹が冬に向けて養分を蓄えているため、この時期に剪定すると翌年の芽吹きや紅葉に悪影響を与えることがあります。
庭木のもみじ剪定の基本手順
ステップ1:全体の樹形を観察する

剪定を始める前に、まず全体をじっくり眺めて、どの枝を残すかを決めます。もみじは自然な樹形が魅力なので、「切りすぎない」ことが基本です。これらを除去することで、風通しと日当たりが改善します。
ステップ2:不要な枝を取り除く

以下のような枝を優先してカットします。これらを除去することで、風通しと日当たりが改善します。
枯れ枝・病気枝・交差枝(枝同士がぶつかっている)・下向き枝・内向き枝
ステップ3:全体を透かす

枝が密集している部分を中心に、間引くように剪定します。太い枝を無理に切らず、細い枝を数本減らすことで自然なバランスを保ちます。
ステップ4:形を整える

外側の枝が極端に伸びている場合は、枝先を軽く切り戻して形を整えましょう。丸く仕上げるよりも、自然な三角形(樹形が上に向かって細くなる形)を意識すると美しく仕上がります。
ステップ5:切り口のケア

切り口が大きい場合は、癒合剤(トップジンMペーストなど)を塗っておくと安心です。雨水や病原菌の侵入を防ぎ、木を健康に保てます。
庭木のもみじ剪定で注意すべきポイント
切りすぎない

もみじは切り口からの水分蒸発に弱いため、強剪定は避けましょう。
剪定ばさみは清潔に

病原菌の感染を防ぐため、使用前にアルコールなどで消毒しておくと安心です。
日差しの強い時期を避ける

真夏の直射日光の下で剪定すると、葉焼けや枝枯れを起こすことがあります。
自然な枝ぶりを意識する

もみじは「自然風の庭」によく似合う樹木。人工的な形にしすぎず、柔らかいラインを意識すると、美しい紅葉が映える庭になります。
庭木の紅葉剪定と他の樹木との違い

庭木の中でも、もみじの剪定は他の広葉樹に比べて繊細です。たとえば、ツバキやサザンカのように刈り込みで形を整えるのではなく、もみじは「透かして整える」剪定が基本です。また、紅葉(こうよう)を美しく保つためには、日当たり・水はけ・風通しの3つが重要。剪定によって光が枝の奥まで届くようにしておくことで、色づきが均一になります。
もみじ剪定後の管理方法
剪定後のもみじは、少なからずストレスを受けています。正しい管理を行うことで、健康的に回復し、美しい紅葉を見せてくれます。
剪定後は水やりを控えめに

切り口が乾くまでは、過剰な水やりを避けましょう。
肥料は春または初夏に

剪定直後に肥料を与えると、切り口から樹液が流れ出る恐れがあります。追肥は新芽が伸び始めた春がベスト。
病害虫のチェック

カミキリムシやアブラムシが発生しやすいので、剪定後は定期的に点検を。
もみじを美しく見せる庭づくりのコツ
もみじは庭木としての存在感が強く、他の植栽との調和も大切です。剪定だけでなく、庭全体のバランスを意識することで、もみじがより一層引き立ちます。

下草には苔や南天、ヤブランなどの和の植物を合わせると上品な印象に。

石灯籠や飛び石を配置すれば、より和風モダンな雰囲気になります。

玄関先やアプローチに植える場合は、日当たりと風通しを確保することがポイントです。
まとめ|庭木のもみじ剪定は「時期」と「軽やかさ」が決め手
- 剪定のベストシーズンは冬(11月〜2月)
- 初夏(5月〜6月)は軽めの整枝でOK
- 秋の剪定は避ける
- 枝を透かすように自然な形で整える
もみじの剪定は、紅葉を長く美しく楽しむための大切なメンテナンスです。これらのポイントを押さえておけば、もみじの美しさを最大限に引き出すことができます。もし剪定に不安がある場合は、庭木専門のプロに依頼するのもおすすめです。適切な時期と方法で手を入れることで、毎年見事な紅葉を楽しむことができるでしょう。ご自宅のもみじを健康的に、そして美しく保つために、ぜひ今日から正しい剪定方法を実践してみてください。
